共著『表現文化の社会学入門』出てます。

粟谷佳司さん太田健二さん編著の『表現文化の社会学入門』に1章書かせてもらってます。2部構成になっていて、前半は「表現文化」を軸にしながらカルチュラル・スタディーズあたりの様々な研究ツールを紹介する教科書的な記述、後半はそれを踏まえた上で今日的な具体的事例を取り上げて各自論じていくものです。ぼくは後半部分の第10章担当でネットレーベルの話をしています。前半部分いろいろ勉強になるまとめになっているので、学部生のみなさんオススメな内容になっています。

いろいろな反省点もありますが、担当部分の所感だけ述べておこうかな。
日本のネットレーベルについては、2010年からの大学院修士の間に集中的に調べたり考えたりしていました。それからほぼ10年たっているので、もはや新しい状況の把握や新しい角度からの考察は正直できていない。しかし、以前に書いた論文や雑誌文章などが学部の卒論でちょこちょこ引用されているようなので、そうした領域へのリアクションとして、現状までのまとめ的な論考として書きました。これでぼくが書ける日本のネットレーベル関連の文章は終わりだろう。これを土台にした新しい視座が出てくるのを読みたいし、ネットレーベル現象自体にそういう展開があったらいいなと思う。

あらためてネットレーベルについて考えてみたり、とくにプラットフォーム化との関連で考えるべきことあるな(本論文では「プラットフォーム」に関するグローバルな議論の展開について全然触れられなかった。。)と思わされたのは、国際交流基金アジアセンターとマルチネがやってきた一連の東南アジア調査の流れのおかげでした。超感謝します。

ネットレーベルに限らずポストメディア状況にある文化実践すべてについて言えることかと思いますが、実践の外部から観察しようとする大学研究者だけでなく、在野研究者、ジャーナリスト、ネット投稿者、野生の研究者、そしてもちろん当事者、その他もろもろが非常に精度の高い書き物を残していく状況になっている。この中でオンゴーイングな状況を書き残していくのはいろいろな意味で難しい。しかし逆にいえば、300年後に向けた記述が残る可能性がアホほど開かれているのだし、それはやらなければならないミッションでもある。やりましょう。読みたい!!

とりあえず読んでね!!↓↓